15年ぶりの北京訪問

菊地　義弘

15年ぶりに北京を訪問したが，町並みの大きな変化には驚いた。前回の訪問時には，天安門近くの路地にも廃屋のような家が多く見られたが，今では，高層ビルが乱立し，高速道路も整備されている。また，路上で故障して立ち往生していた古いトラックが新しく，綺麗な新車に置き換わっている。精華大学に勤めている卒業生に聞いたところ，5年間でマンションの価格が倍になったとのことであるから，その間の急速な発展（バブル？）が実感される。

しかし，2009年臨界予定の高速実験炉（ＣＥＦＲ）を見学して，その進捗状況には落胆した。街の中にも，資金の目途が立たず，建設が中断したビルが見られたが，それと同様に近い状態であるように感じられ，タイムスケジュールが大幅に遅れそうである。経済発展にすぐに役立つ応用技術を外国から導入することが優先しており，基礎的な研究開発はまだ先のようである。ＣＥＦＲもロシアの模倣とのことであったが， 限られた予算で研究開発に携わって居られる当事者の苦労には同情したい。